ちょっと不思議な物語を

わらび餅でも食べながら、まったり読んでみてくださいね

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【掌編小説】蛍

太陽の光が大地に届いていた時代から、蛍は人々から愛されていたらしい。でも、その時代の蛍は、私が知っている蛍ではなくて、虫だったそうだ。緑色の光を放つ虫が、夏の夜、川辺で美しく漂っていたんだって。私の家にある本に、そう書いてある。 想像も出来…

【掌編小説】のっぺらぼうは黄昏に

人気のない道端でしゃがんで泣いて、心配して声をかけてくれる人に自分の顔を見せて驚かせる。脅かしてどうするのだと言われても仕方がない。私はそういう妖怪なのだから。 ある日、いつものように啜り泣く私に、小さな男の子が声をかけてきた。さて、どうし…